絵が動く!~まちなかギャラリー夢たまごにて~

御年94歳。中央の画壇とは無縁ではあるが、宮崎では知る人ぞ知る
西都市在住の弥勒祐徳先生の個展があると新聞で知りのぞいてみた。
(私個人は、ギャラリーしんとみで、先生のことを教えてもらったのが始まり。)
絵もさることながら著書も多く、一度先生の文章に触れると
その表現力の素晴らしさに引き込まれてしまう。芸術家なのだ。

弥勒先生の絵の特徴は何と聞かれたら?
本のタイトル通り、「絵が動いている。」と答える。

絵が動く

目に入ってくる風景を単に描くのでなく、桜が風になびいたり、
光にさんさんと照らされる瞬間といった、
とらえどころのないものを表現している行為に、ただただ驚いてしまう。
描けそうだけれど描けない絵だ。

さくら

桜の下に人や車が描かれている。
大自然の中の人々はなんだか雑草に思えてくるし、車はおもちゃのようだ。

さくらと車

比較するなんてとても失礼なことではあるが、
大自然や何かとてつもなく大きいものをバックに人々を小さく描く
山下清の世界に通じる気がしてならない。山下清の「花火」
大勢の人を手前に、花が一瞬に散って消えて・・・。その繰り返し。
いくつもの花火を同時に花咲かせ、私たちに見せてくれている。

先生が立体のキュービズムと称した佐土原人形。
西都原の桜をモチーフにした色紙もお手頃価格で展示即売されていたが、
これも大変味わい深いものだった。

佐土原人形

ギャラリーしんとみ(宮崎県新富町)

るぴーモール

ギャラリーしんとみは、新富町のるぴーモールにあり、ふらっと立ち寄れる。
そこが魅力!
空き店舗をギャラリーにしたそうで、町が運営しているため、利益は求めない。
3年持つかと言われたそうだけれど、しっかり地域に根づいている。
企画兼貸しギャラリー。
1日500円、1週間3000円と安くでこの空間を借りることができる。

一般的な企画ギャラリーは、たくさん名品が揃っているので、
いい作品を選びやすいと言う利点があるが、 値段も高い。
だから、買うにはある程度の覚悟がいるし、 そこには一種の緊張感がある。
さらに、手に入れた作品に満足して、その余韻に浸る間もなく、
売り手のギャラリーが、また次の絵を薦めてくることもある。

ギャラリーしんとみ

しかし、ここに来るとそんな緊張感はなく、作品を見ながら楽しく語り合える。
情報交換もできる。 お茶も出てくるし、コーヒーも100円と安い。
本当に良い作品と巡り会えれば、イッツ・ラッキーだ。

新富町観光協会主催の座論梅絵画・フォト展に参加。
上位入賞者に賞状・賞品が配られるなど、主催者の理解があることに感心した。
並んだ絵画を見た瞬間、座論梅の風景がこの街中にやってきたようであった。
また、ギャラリーのガラス越しには、子供の作品が展示してあった。
成長していく子供のことも大事にしているのだな~。

アートは、老若男女問わず人の心を楽しませたり、癒してくれたりする。
気持ちにゆとりがない時でも、ガラス越しに作品を眺めて気分を変えたり、
自分の作品を展示してもらって、楽しんだり生きがいを見いだしたり、
そんなことを可能にする空間がここにある。

ギャラリー内

スタッフもなかなかの目利きで、話していてとても奥が深い。
ブログも定期的に更新され、その様子は良く伝わってくる。

地方の作品を中央で個展するというのは、よく耳にするけれど、
中央や他の地方の作品をこっちでもたまには見たい。
でも田舎では不可能だよねと思いきや、遠いところから作品が来ると言う。
それがトンボ玉コレクション!!