尾鈴クリニックは、川南町役場のすぐそばにある。
土地の人が、ここの先生を頼りにしているということを耳にし、
地域に根ざした医療機関なのだと知った。
院内にはいるとすぐドクターが出てきてくれて、気さくに語りかけてくれる。
こちらの体のコンディションをよみとってくれ、一早く対応。とても心強い。
大きい医療施設だとこうはいかない。
医療スタッフは気ぜわしく、 オートメーション化した流れに、
こちらがついていけないこともしばしば。
このクリニックには、だだっ広いスペースがあり、
待っている間ゴロンとできるので、リラックスできてとても良い。
私の場合、体調が悪くて食べられないときの心の栄養は絵画や書だ。
目を通して体に養分を入れていく。 間接的ではあるが、回復に寄与している。
ここにかけてある作品を眺めながら、そう思った。
このスペースで、高校時代の美術教師石井秀隣先生の油絵を見つけた。
初期の作品かと思われる。
海外が身近でない頃、先生はよく渡航され、
異国の香りを絵という手段を用いて私たちに紹介してくれていた。
ちょっと、かすれた感じの線で描かれた通り沿いにある家の一面。
建物というと普通ユトリロのように立法体でそのまんま描かれがちだけど、
これは平面。 色調はいささか暗いが家の中はどんな雰囲気なのか?
いろいろ想像を呼び起こしてくる。
一見単純そうで実は深い。
これは会計のところにある刺繍。
そして、これは入り口にある100号を超える作品。
このクリニックのパブリックピクチャー?のような存在。
TAKEと中央に文字のはいった宇宙ヨット?の油絵。
(県美展の染色部門の中にこういうモチーフの作品を目にしたが、)
作者はわからないけれど無駄な線がなくすっきりしている。
初めてこの作品をクリニックに入る際眺めたときは、体調も悪く、
なんじゃこりゃ変わった絵だと思ったのに、
点滴治療を終えて帰る際は、この絵をみて自分自身がキリッとする。
何度も治療で通って見ているといると、この作品に愛着さえ湧いてくる。
絵っておもしろい。
身体状況如何で見方感じ方が変わるのだから。