私の手元に、”C.G.ユング記録でたどる人と思想”
ゲルハルト・ヴェーア著 安田一郞訳 青土社刊
と言う本がある。
精神科医であり心理学者でもある
C.G.ユング(カール・グスタフ・ユング)について書かれたものだ。
この本にはたくさんの絵(錬金術の図、宗教画、東洋画)もさることながら、
ユングが描いた物もたくさん掲載されているからおもしろい。心がおどる。
その中で曼荼羅 (サンスクリットで円という意味。)について
触れられた箇所がある。
マンダラ模様の起源は何千年も前のこと。
ユングはある時期毎朝マンダラを描いた時期があった。
患者にもマンダラを描かせている。
”もし、マンダラの絵が自発的に生まれたならば、
すなわち模倣されたものでなければそれは統合的に作用し、
それゆえ治療作用がある”
とユングは指摘している。
旅の土産物です。
医者であり科学的な思考をするユングが
患者を治療するにあたって、
解決の糸口を西洋のみならず東洋にまで目を向けたのはなぜなのか?
自分の学問の領域を取っ払って、
芸術・宗教の世界にまで足を踏み入れたのはなぜなのか?
専門的なことは分からないが、
絵画(芸術)も心身の健康に一役買っているのだと解釈した。
”芸術に効用あり”などと訴えたくなるのは、
芸術をひとりでも多くの人に愛してもらいたいと思う
こちらの身勝手な思いこみか。
芸術愛好家であるが故の・・・。
はじめまして。とても興味深いお話です。僕もメンタルクリニックでARTプログラム講師してます(絵画療法など専門的なことではなく僕自身創作活動してるので患者と一緒に芸術を楽しむというスタンス)
誰にでも平等に創作意欲というものはある気がします。でも点数つける教育や流通という場にふれなきゃ成立しない芸術では本来の自由で自発的な創作意欲は歪曲するのでしょう。
心の根っ子をたどっていくときユングは曼荼羅という精神的原風景に行き当たったのかもしれませんねー。
コメントありがとうございます。私も同感です。商業ベースにのったものが芸術として評価されるのも疑問だし、小・中学校の授業内容もあまりに制約されすぎて個々の作品に活力がないような気がします。
これが現代の風潮なのでしょうか?
芸術の本質はもっと広くて深いものだと思うのですが。