フタバ(宮崎県川南町)

フタバ

昔からあるお店屋さん。
入り口には鍋や金物があって、普段はそのまま通り過ぎるけれど
たまたま窓ごしに青磁の花瓶が目について、中にはいった。

フタバ店内

奥に行けば行くほど可愛い小物や日本各地から集めた陶器が
たくさんあって、 別世界に行ったような気分。
1つ1つ眺めていくととても味わい深く、
古きよき時代の品々に感激し、 思わずいすに腰掛けて、
お店のご夫婦と話し込んでしまった。

女性

この絵は色は褪せているけれど、良く描かれていて気にいったと話したら、
これはフランスのルーブル美術館?にかけられた絵で
「ずーっとずーっと昔に宮崎銀行のカレンダーに印刷されていたもの。
好きだったので、切りとって額にいれて飾っているの・・・。」とのこと。
作者は山田新一??わからないけれど、
昔の画家の気骨が感じられる絵だなと。

そのほかにも川南の人が制作されたというちぎり絵や
その息子さんが描かれた絵もよかった。
好きなものを大事にしながら、このお店の人達と共に
長い時を過ごしてきたのだろう。

TAKENOYA(宮崎県川南町)

11:30~13:30はランチタイム、昼バイキング650円とある。
入り口が駐車場。川南ストリートからちょっと離れていて、
一人でぷらっと入るにはちょっと躊躇するけれど、
フロントに掛けられたその横に長い絵を目にするや否や緊張感はなくなる。

TAKENOYA

わーいいな! アンリ・マチス?
白いバックに青い裸婦の抽象画を思い出す。
曲線は、まるではさみで切ったような感じ。
自分の記憶に照らし合わせる。こんな横に長い作品があるのだ!
フロントが明るくてとてもステキ。白と青のコントラストがいい。

女と猿

マチスだ!
「これは偽物よ」と愛嬌ある返事が返ってきた。
もっと近づいてみたいよー。心が叫ぶ。思わず覗き込んでしまった。
これは切り絵だ。白い背景から脚の一部がはみ出ているところが、良い。
切り絵でもおしゃれ。
白地に青い紙を切って貼っての作業、配置の決定。
仮に本物の写しだとしても良くやるもんだ。ほとほと感心した。
絵を書くことは全くずブの素人だけれど、
紙と糊と鋏さえあれば私だって楽しめるかもと思わせたもの。

実はこの作品「女と猿」というタイトル。
マチスは晩年筆が思うように使えなくなると、
紙を青い色で塗り、それを切り貼りして自分の表現としていたようだ。
これまでの見覚えのあるいくつかの作品は切り絵だったんだ。
ああびっくり!
版画かポスターか偽物かは、観る側には気にならない。

この作品がこっちを立ち止まらせてしまい、
ほかにかかった絵を眺めるのにちょっと時間がかかってしまった。
旅館の大きな空間と壁。
いつもせせこましい空間にいる私には羨ましい。 奥に進む。

色紙に描かれた椿、植物、風景小作品、大作130号(4号墳賛歌)が並ぶ。
郷土の画家、宮越先生の作品。全部水彩画。
4号墳賛は車輪がモチーフになっているが、これが水彩とは思えない。
油絵顔負け?色鮮やかできれい。

4号墳賛

切り貼り併用。
貼った紙の上から絵の具を重ねると違ったイメージの色が伝わる。
車輪から流れるたらたらした絵の具の線は
車がまわっているところを表現しているのだろうか?
古代ものを現代によみがえらせて、私たちに何かを伝えている。
身近なマテリアルを用いたモダンアート。
先生が70歳の頃のもの、年齢を感じさせない。

高鍋町美術館に先生の作品20号(古墳まつり)が常設されている。
色鮮やかできれいだけど、
図柄がキャンバスの上半分にあってなんで?こんな位置にあるの?
もちろん、たらたら線もあった。だから覚えていた。
ああ先生の作品だと。
この大作を目にして、美術館で受けた違和感は薄らぎ親近感がわいた。
先生はその後どんな作品を描いたのだろう。
一人の作家の作品を別の場所で見つける楽しさを分かち合いたい。

帽子の女

もう一つ旅館にはいって、金の額縁の油絵がある。
白いシャツを身につけ花飾りのついた麦わら帽子をかぶった女性。
光がさして衣類の素材感が出ていると共に指輪が光っている。
シャツがちょっとはだけていて、
少女から成熟した女性へと変化した頃かと感じてしまう。
作者は不明だけど雰囲気のある作品だと思う。

そのほか、書もあるから観ておくと良い。
レストランに行くと、ジェームス・ディーン、
マリリン・モンローのポスターがある。
モンローはポップアートの巨匠アンディーウォーホルの作品に登場していて、
どこかで目にしているはず。その作品のモデルになった人がここにいる。