トロンドーム(宮崎県川南町)

トロンドーム

トロンドーム。1階ロビーに2点作品がある。
一つは和紙を用いたモノトーンの雪山、工芸画というのだろうか?
川南町では宮崎銀行やその他のお店で
和紙を用いた作品を数多く目にしたが、その極めつけがこれ。
結構見応えがあり、紙でここまで表現できるのだと思った作品。
ただ、作者名(山内一生)が作品の右端にプレートで貼られているのが
鑑賞の妨げとなり残念だった。

山内一生

もう一つはその反対側にある。発色のきれいな絵。
その場の雰囲気を明るくしてくれ、思わず見てしまう。
祈りというタイトル、児玉美音子さんの作品。
地球、野原、赤ちゃんを抱いたおかあさんと子供、
振り向いた牛や豚や山羊と言った動物。宗教画を思わせる雰囲気。

児玉美音子_祈り

川南で暮らして想うのは四季折々の風景がきれいで
自然の中に生きていると言う感じ。
だから、絵画も自然をテーマにするものが多い。
宗教色の強い絵はあまり出てこない。
しかし、こんなのどかな地域がすっぽりと闇に包み込まれるような
出来事があった。それが口蹄疫。あの時の事を忘れないで!
メッセージ性の強い作品が生まれたのは当然のことなのかもしれない。
そのときの悲惨さをモチーフにした象徴的な作品。
公共の建物にかけてあるのが良い。
誰もがその当時のことを思い起こす事ができる。
貴重な作品だと思う。時間がたてばたつほどに大切さは強調される。
この作品のポストカードは瑶林堂に行けば手に入る。

宮崎市佐土原歴史資料館(宮崎市)

立体のキュービズム

川南町から南へ、となりのとなりに新富町という町がある。
その町で、ギャラリーしんとみ主催のひな祭りがあった。
そこで、佐土原人形のお雛様に目を奪われ、
歴史資料館にもあるから行くと良いとすすめられ、足を伸ばした。
佐土原人形の素朴さに惹かれると共に、そのルーツを知りたいと思ったのだ。

佐土原歴史資料館

宮崎市佐土原歴史資料館は隠れた穴場である。
こんなお屋敷があるなんて全く気づかなかった。
中には、佐土原人形がいろいろ・・・

歴史資料館の佐土原人形

佐土原の土は良質ではないけれど、この土地で造られた土人形。
博多人形ほど洗練されていないし、きれいとか装飾的でもない。
どこか素朴で、肩のこらない、見てるといつのまにか愛着のわく宮崎県の宝物。
なによりも驚いたのは、人形を角度を変えて見ていくと、
表情が異なって見え、そのおもしろさに、魅力に、取り憑かれてしまうことだ。

ここでは、同時に企画展が開催されていた。
佐土原人形をモチーフにした水彩画がとっても合っている。
この界隈に住む有名な弥勒祐徳先生の絵画と佐土原人形のコラボレーション。
御年94歳ととは思えない作品の数々。その行動力はすごい!
長生きの秘訣は何か教えてもらいたいものである。

弥勒祐徳絵画展

そこでは、先生の書かれた文の一部が紹介され、すごく的を射ていると思った。
先生は、ジャコメッティの立像が8等親に対して、佐土原人形は4等親とか、
ピカソはアフリカからヒントを得てキュービズムを紙で表現したけれど、
佐土原人形はキュービズムの立体版だと表現。ほんとうにそのとおりだと思う。

佐土原人形を制作するお店はもう2軒しかないとのこと。
帰りにそのうちの一軒「佐土原人形ますや」をたずねてみた。

店内の様子。
ますやのひな人形

1000円の饅頭喰い人形と600円のイヌを購入楽しんでます。
ますやの佐土原人形

ご先祖様の写真はこちら。
昔の佐土原人形