青い薔薇とひまわり

友達に誘われて、喫茶店に入った。
自宅の近所にあり、その前を通り過ぎること約20年。
その店に入るのは初めてだった。

友達は、顔なじみの奥さんとカウンター越しによく話していたが、私は初対面。
注文したスパゲティナポリタンとコーヒーがくるまでの間、目のやり場を探した。
唯一集中できるものは、壁にかけられた二枚の絵だった。

レリーフ上に描かれた厚塗りの油絵。
”青い薔薇”と”ひまわり”
サインはそれぞれ
”神”とローマ字で”kami”と言う風に記載されていた。

一見派手、でも純粋。
眺めれば眺めるほどすいよせられる。
これが最初の印象だった。
結局、この店で何時間もの時間を費やして、絵とおしゃべりをした。

もっとも注文した料理・飲み物が、この上なく美味しかった事は記しておきたい。

芸術療法

ある女性と話していたとき、いきなり涙を流しはじめた。
過去の悲しい出来事を思い出したからだ。
身内を失った悲しみは、時間が経過しても癒えるものではない。

 会話のやりとりの中ではっきりと覚えていることがある。
「ボタニカルアートを描き始めました。
 習い始めて日は浅いのですが、
 色・ 植物の形の美しさに心が和み、気持ちが落ち着きます」と
 描くという行為が、心の安定に役だっている。
 その時、漠然と思ったものだ。

昔”セルフコントロール”という本がベストセラーになった。
池見酉次郎も精神科医として芸術療法を取り入れている。
患者の描いた絵を通して、その人の内面を把握し治療していくというものだ。
言葉で表現できないこと、やり場のない自分の内面・感情を絵(形)にする。
そこに達成感が生まれる。
描いた本人も形を通して自己を客観視できる。
これぞ芸術(創作)の力?時々思う。
この芸術療法もルーツはユングなのだろうか?

花
(KODAK DC4800 ZOOM AUTO)

C.G.ユング・・・あの一説が思い出される。

心は昨日や今日できたものではない!
その年齢は何百万年を数える。
しかし個人の意識は、多年生の地下茎から生長し、
季節にあった花と果実をつける枝にすぎない。・・・・
以下略す。