アーモンドの花

ゴッホの花の絵だけを集めたポスター。
ひまわりに代表されるあの勢い余った筆のタッチ。
風のそよそよと吹かれ、果てしなく続く感じの線の流れ。
そんな雰囲気の作品が並ぶ中、
違った感じの作品がポスターの一番下、左端にあった。
”アーモンドの花”

アーモンドの花

青い空色をバックに木の枝がのびのびと描かれている。
その所々にかわいい花が咲いている。
私は本物のアーモンドの木を見たことないが、
その絵は桜の花が控えめに咲いているようなイメージを受ける。
いつもの激しさとは異なった、本当に穏やかで暖かみのある作品。
自分をいつも支えてくれ、一番の理解者だった弟テオ。
そのテオに子供が生まれると知って描いたのが
”アーモンドの花”だったのだ。

炎のように激しく燃えた作家ゴッホ。
でもこの作品からそれは感じ取れない。
一枚の絵に託された思いは?喜び、希望。
作品を思い浮かべるたびに、ホッと安心する自分が存在する。

いつか訪れて見たいゴッホの美術館

デジタルアート

人通りの多いアーケード。
その中にいくつもの貸しギャラリーがある。
全部見て歩くと相当な時間、エネルギーがいる。
その日は、まず油絵の個展をのぞいた。
一点一点眺めたが、集中しすぎたためかやや疲れてしまった。

そして、別のギャラリーへ足を運ぶ。
個展案内の葉書に目がいく。
世界地図の断片? 会場は3F
”3Fはちょっとつらい、歳のせい?”と思いつつ階段を上った。

こじんまりとした部屋。
そこに展示してあったのは、グラフィックアート。
なんと地図の断片と思って近づいてみると
相撲をしている2人(白画?水墨画?)を切りとって薄茶色にしたものを
貼り合わせたり、重ね合わせたり、つなぎ合わせた
”人”の集合体。
人間同士がうごめく社会の縮図。
色の濃淡は、人が重なっているか否かで微妙な差がでる。
遠くから見る印象と近くで眺めた時の受け止め方がこれほど違うとは?
コンピューターを駆使して完成させたデジタルアートだった。
遠くから見たら森林、これも実は
”人”の集合体

おもしろかった。
量産できるアートもお気楽でいい。
リラックスしてみれるのがいい。
作家は韓国・プサンの大学の女性教授(デジタルデザイン)

 ところで、このグラフィックアートを売るとしたら?
「10枚限定として販売」
 プリントされた色の寿命は?
「10年」
 とのことだった。

 現在日本で制作されたアートが、100年後も評価されているだろうか?
 100年たって過去を振り返ってみて、それは名作として残っているだろうか?
 韓国のアート事情はどうだろう?尋ねてみた。
「無いと思う。」と話してくれた。
 作家との話は尽きなかった。留学生通訳を介してではあったが。

個展の帰りにふと考えた。
未来のための1点ものの作品もいいが、
寿命は短くても、今楽しめるデジタルアートも悪くない。
大衆性もあるし。